この夏の休暇は島への旅。
朝8時前の海岸でバーニーズと話してから次に現れたラブラドールと一緒に海で泳いだ。
建築家の奥様とウインドサーファーの島人は
とても優しく親切に島の情報をぼくに教えてくれた。
このあたりには食堂も売店も無い。
9時過ぎになりようやく船頭が現れたので渡し船で島の分教所へ渡り小さな食堂でようやく炊きたておにぎりとじゃこ天とそうめんをいただいたのだがその旨いのなんの。
辛抱した後のほうが数倍旨く思えるのかもしれない。
午後から絵本作家荒井良二さんのワークショップに参加した。
26人で3.5mという長さを指定され、ひとつの物体を作り上げようという課題でした。
様々な年齢、知らない人と一気にひとつのものを創る事はとても難しかったですが
やはりやりたいと思う意思を人にちゃんと伝えなければなにも始まらないということを
痛感し、それが充分にできなかったことを後悔した。
独りよがりなぼくにはそんな意味でたいへん勉強になるワークショップだった。
夕日を観ながらオリーブ温泉で静かに流れていたパッヘルベルの『カノン』。
ぼくは思わず戸川純の『蛹化の女』を唄っていた。
2日目も朝早く飯抜きで観たかった棚田へ向かう。
途中どこかに売店があるだろうと思ったのだが案の定発見出来ず腹をグーグー鳴らしながら山を登り小さな祠の木の陰で休み湧き水を飲んで蛙や沢蟹と2時間ほど風を楽しんだ。
空腹で売店であんぱんすら買って喰うとこもできないが、此処はやはり贅沢な場所。
そして「観ること」ができたかけがえのない時間だった。
最初この島にはなんにもないと思っていたけれど過ごしているうちに、
たくさんの真の幸せがあることに気付いた。
帰りの船の中でアトリエもそんな場所にできたらいいなあとこころより思った。