1960年代後半からオートバイの持つ機動性に目をつけた新聞社、TV局など
報道機関が記事、写真の伝達方式として採用し始めたのがいわゆる
「プレスライダー」の始まりである。
(それまでは笑い話ではなく実際に伝書鳩を使い運んでいた)
1分1秒でも速く記事を本社に伝達する事を職業とするため
公道を安全かつ速く走れるウデを持つ者達が選択され各報道機関に雇われた。
それ故に彼らの公道での早さは尋常ではなく
「道がなければ道と思え!」「車と車の間が50cmあれば楽勝よ!」
などと彼らの詰め所からは自慢話が聞こえてくる。
一歩間違えば危ないよね...そんな問いかけに返ってくるのは
「命よりスクープだろ」の一言。
プロなのだ。
オートバイが好きで選んだ職業。遊びではしゃぎ回る『カミナリ族』も
社旗をはためかせて迫ってくるオートバイには何も言わず道を空ける。
例え歯向かったとしてもあっという間もなく白煙を浴びるのがオチだ。
その社旗にプライドを持つ彼ら。ライバル会社のプレスに一歩でも出遅れた時は
声もかけられない。それだけに毎日のメンテナンスは欠かせない。
いつ何時でも走る準備は出来ている。
自分のオートバイとその走りがプレスライダーの誇りなのだ。
自分の運んだ写真が朝刊早刷り一面を飾った時が一番の充実感なのだという。
24時間待機か走っているか。
そうして稼いだ金は走りを支えるオートバイにほとんど注ぎ込んでいる。
1971年月刊オートバイより抜粋